
経営統合した「スペースシャワーSKIYAKI」M&Aを活用しアーティスト育てる仕組みを拡充

音楽配信をはじめイベントやライブハウスなどの運営事業を手がけるスペースシャワーSKIYAKIホールディングス<4838>が、グローバルに通用するアーティストやクリエーターを育成、支援するためのプラットフォーム(ファンクラブの運営やライブ配信などが可能なサービス)の拡充に向け、M&Aを活用する方針を打ち出した。
2024年11月13日に公表した2026年3月期から2028年3月期までの3カ年を計画期間とする「中期経営計画 Ignite 2027」の中で明らかにしたもので、高いシステム開発能力や優秀なエンジニアの獲得などのために、期間中に30億~40億円 (M&Aのほかに設備や事業への投資を含む)を投じる計画だ。
システムの開発能力の向上にM&Aを活用
同社は音楽専門チャンネル「スペースシャワーTV」などを手がけるスペースシャワーネットワークと、ファンクラブの運営やライブ配信などが可能なプラットフォーム「Bitfan」の運営などを手がけるSKIYAKIが、2024年4月に経営統合して誕生した企業。
「中期経営計画 Ignite 2027」では最終年の2028年3月期に240億円の売上目標を掲げており、統合初年度となる2025年3月期に比べて、22%の増収を目指す。
また営業利益は、最終年に16億円を見込む。2025年3月期の営業利益見込みは7億6900万円の予想だが、統合にかかった一時的な費用を除いた実力値は10億1400万円とみており、この数値との比較では最終年は57%の営業増益となる。

スペースシャワーSKIYAKIが手がける音楽配信やプラットフォーム、イベント、ライブハウス、ファンクラブ、EC(電子商取引)、映像制作などの事業分野の市場規模は、同社推計で5兆円を超えるという。
今後も音楽コンテンツ市場は拡大が見込めるほか、ライブ、イベント市場でもコロナ禍の影響が薄れたため、新たなイベントやフェスティバルの立ち上げが相次ぐことが想定される。
こうしたビジネスチャンスを取り込むことで中期経営計画を達成する計画で、2025年4月にコンテンツ事業とソリューション事業の二つに事業を再編し、両社の事業を融合したうえで、プラットフォームの拡充につながる取り組みを展開する。
コンテンツ事業では、主催イベントの水平展開や新規イベントの創出、オンライン上の自社サービスの内製化などでコアユーザーの獲得を目指すほか、アーティストやクリエーターが集まる施設を拡充し、10年先に新たなシーンを形成するアーティストの獲得や育成に取り組む。
一方、ソリューション事業では、プラットフォームそのものの機能アップに力を入れるほか、イベント向けのアプリサービス開発や、エンターテインメント領域に特化したファイナンスサービスなども検討していく。
こうした展開に必要となるシステム開発能力や優秀なエンジニアの獲得にM&Aの手法を活用しようという試みだ。その日はいつ訪れるだろうか。
文:M&A Online記者 松本亮一
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