スポーツが世界の頂点を極めるのにM&Aは貢献できるか?① 権藤博 元横浜ベイスターズ監督

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投打二刀流で活躍する米メジャーリーグの大谷翔平選手や、8大会連続でワールドカップに出場するサッカー日本代表など、世界レベルで活躍する日本人選手が増えている。しかし、国内のプロリーグは、本場の米国や欧州のレベルには遠く及ばないのが現状だ。日本製鉄による米USスチールの買収など、経済界では競争力強化のためのクロスボーダー(国際)M&Aが盛んに実施されている。ではプロスポーツにおいても、M&Aは競技レベルの底上げに貢献できるのか。現場を熟知する関係者に取材した。

「東アジアリーグ」は日本野球のレベルアップにつながる

第1回は1998年に監督として横浜ベイスターズ(現・横浜DeNAベイスターズ)を38年ぶりのリーグ優勝、そして日本一に導いた権藤博氏に、日本・韓国・台湾の「球界クロスボーダーM&A」による統一リーグが日本のプロ野球のレベル向上につながるかどうか、日本記者クラブ(東京都千代田区)の会見で聞いた。

権藤氏は日本のプロ野球のレベルアップについて、「それ(東アジア統一リーグ)しかないのではないか。日本だけでは(たかが)知れている。韓国、台湾は地理的に近い。国境をまたぐといっても、米メジャーの移動距離を考えれば、3カ国による東アジアリーグは十分に可能だ」との見方を示した。

国内の球界再編については、「球団数をもう少し増やして、セ・パでそれぞれ8球団ずつぐらいになれば、交流戦やクライマックスシリーズが大いに盛り上がる」と述べ、プロチーム数を増やすべきだと主張した。

大きい日米球界の経済力格差

日米の球界比較では、「とにかく球団の経済力が桁違い。メジャーに移籍した元巨人の菅野投手が、35歳で年俸20億円(巨人での最終年俸は推定4億円)。さらに新人王でも獲得すれば、30億〜50億円で複数年契約を結べる可能性も出てくる」と、両国球界の経済格差を指摘する。

「かつては資金力が豊富だった巨人も、今はオーナー企業が新聞業界ということで厳しい。今、一番お金を持っているのはソフトバンクだろう。こうした企業が、たとえば(球団空白地の)四国に新球団を立ち上げることができればよいのだが、気の遠くなるような話ではある」と語った。

日米の野球指導法の違いについては、コーチの関与の仕方を挙げた。「日本のコーチは手取り足取り教えるが、米国のコーチはあれこれ口出ししない。彼らは『選手が自分で気づいたことは覚えているが、他人に教えられたことは忘れてしまう』と言って黙って見ている。私自身も、つい選手にアドバイスしてしまう。米国のまねはできない」と振り返った。

文・写真:糸永正行編集委員

※次回は、森保一サッカー日本代表監督が登場します。

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